JAいわて花巻

花巻農業協同組合公式ホームページ

ホーム > お知らせ・あぐり情報  > 初冬直播き技術普及に向けて 岩手大学などが生産者向け勉強会を開催

お知らせ・あぐり情報 News

初冬直播き技術普及に向けて 岩手大学などが生産者向け勉強会を開催

2025年2月20日

 

 岩手大学農学部と岩手大学次世代アグリイノベーション研究センターは2月19日、水稲の初冬直播(じかま)きに関する生産者向け講習会を同大学で開きました。同日はウェブ配信も行い、実地と合わせて約40人が参加しました。同学部の下野裕之教授が、直播(ちょくは)技術の概要や現状について説明した他、実際に初冬直播きを実践する2法人の代表者が現状を報告しました。

 「初冬直播き栽培」は従来のような苗作りを行わず、前年の初冬に種子を直播きし、土中で越冬させ、翌春に発芽・苗立ちさせる作型のことをいいます。担い手の高齢化に伴い大規模経営体への農地集約が進む中、春期の作業分散に効果的な栽培方法として注目が高まっています。
 
 同日は、初冬直播き栽培を研究する岩手大学農学部の下野裕之教授が講演しました。水稲生産の課題として、農業従事者の減少に伴い法人の受託面積が拡大していくことを挙げました。その上で、初冬直播き栽培の導入によって、春作型と競合しないことによる作業負担軽減、既存の機械で作業可能であることによる低コスト化、春の出芽適期を逃さないことによる安定生産などが期待できると説明しました。
 
講演する下野教授
 
 また、2022年から初冬直播き栽培に取り組む花巻市の(株)JAグリーンサービス花巻プロ農夢花巻事業本部の畠山譲本部長が取り組み状況を報告しました。播種作業の様子や除草剤の効き方、鎮圧の効果などについて説明し「複数年実施することによる適正播種量の把握が大切。技術の普及率を上げるためには、安定した収量を確保できる必要があり、一層の技術確立が求められる」と話しました。
 
取組状況を報告した畠山本部長
 
 2020年から取り組んでいる八幡平市の(株)かきのうえの立柳慎光代表は、所有する農機の活用方法や、圃場(ほじょう)選定について説明しました。「直播栽培は除草が大きなポイントになり、個々の生産者の技術向上も必要」と強調しました。
 
除草のポイントについて説明する立柳代表
 
 同日、紫波郡矢巾町から参加した(農)アグリ曲戸の川村松夫代表理事は「導入のメリットや技術普及に向けた課題を知ることができた。法人として大規模面積を担っていくために新たな栽培技術の必要性を感じており、初冬直播き栽培を実践している法人に視察に行って勉強したい」と意欲を見せていました。
 
 同大学は2021年に「初冬直播き研究会」から情報発信を行うホームページを立ち上げ、現在までに360人が会員登録。同技術に関心のある生産者に向けて、実践事例や研究成果、講習会の開催に関する情報を公開しています。
 

前のページに戻る